クリエイティブな受験生を支援するハイレベル総合型選抜専門塾《Alternative Academy®︎》の代表・河合雄介が主筆のこのBlogでは、AO入試(現・総合型選抜)の受験生やその保護者、高校の先生、大学の教員、企業の採用担当者の方々からいただいた質問に、私見も含めながらお答えしていきます。
※質問募集は公式LINEでもお受けしております。
※全ての質問に回答できるわけではございません、ご了承ください。
前回の#01-10に続いて、AO入試受験を検討中の高校生・既卒生からのご質問にお答えします!
目次
- Q11|面接官が一番見ている「人間的な部分」ってなんですか?
- Q12|高校の成績が普通でも、合格できる人の共通点や必要なスキルは?
- Q13|書類を「きれいに書く」ことと「自分らしく書く」こと、どちらを優先すべき?
- Q14|併願校の志望理由書、どのくらい差をつけるべきですか?
- Q15|志望理由書で“失敗しがちな言葉づかい”ってありますか?
- Q16|SNSや動画を活用したポートフォリオは評価されますか?
- Q17|面接で「それ、うちの大学でやる必要ある?」と聞かれたら、どう返すのが正解?
- Q18|「表現系」や「探究系」の入試に向く人、向かない人って?
- Q19|総合型選抜で落ちた人が、一般入試で活きた経験ってありますか?
- Q20|「AO対策」を早めに始めるなら、高1・高2では何をやるべき?
Q11|面接官が一番見ている「人間的な部分」ってなんですか?
「君は本当にうちの大学で研究したいんだね」と面接官が思ってしまう「言葉と態度と経験が一致しているかの信憑性」ではないでしょうか。
事実や実績以上に、どんな行動を起こしたか。
つまり、どんな「動詞」が出てくるかで、人間的な魅力が顕れるか、差が出ているとも言えます。
大学や学部によって様々な「人間的魅力」のニュアンスは少々異なりますが、面接で不合格になってしまう方の多くは、この3つのどれかが(orどれもが)欠けています。
もちろん、志望理由書などでは、「文字・文章でしか推察できない」期待値を、面接では確認できる場ですので、「基本的な準備できる部分と、準備しにくい部分の整合性」があるかが大前提です。
例えば、併願校の学部や志望理由、将来像がバラバラというのは、そもそも「嘘をついている」状態ですので誠実さは薄れています。併願校の書類を、面接官の先生方が見ることはまずありませんが、
研究をする=真理・真実を探究する学生としての意思や資質、姿勢として発言の中に「違和感」が生まれることはよくあるそうです。
さらに、活動経験でアピールできる人間性も、評価が難しくなっています。
AO入試界隈ではよくいる「委員会や生徒会、部活などの『〇〇長=選択肢のあるリーダー』の経験」だけでは、「人間的な魅力」も差がつきにくい時代になってしまいました。
「役職や肩書き」では伝えにくいんですよね。
組織やチームをまとめた・束ねた・引っ張った…だけでは、抽象的で説明不足なのです。
何をしたか、ではなく、どうやったか。
これを語れる人は、何かしらの「人間的な魅力」がありますね。
Q12|高校の成績が普通でも、合格できる人の共通点や必要なスキルは?
共通点や特徴は複数存在しますは、まず、「普通」の成績がどれくらいなのかにもよります。
「普通」や「一般的に」という言葉は、総合型選抜受験においては非常に危険な言葉です。
…と、気づけるような方は「高校の成績が普通でも合格できる」可能性が出てきます。
合格可能性の高い人の共通点(の一つ)は、「見慣れた、聞き慣れたことを疑える」ことです。
5段階の評定の場合、その平均が2点代後半でも合格する人と、オール5でも不合格になる人もいますが、その違いは出願書類と面接の両方で、「志望校・学部をどう捉え、言葉にできたか」にほぼ集約されます。
オール5を取れる方であれば、それなりの論理国語力はあるはずです。
説得力ある文章は書けていても、面接でも、その国語力を使えなければ合格は遠くなります。
日本の義務教育や高等学校の国語(現代文)教育では、
「読み・書き」の授業比率は高いのですが、
「聞く・話す」の授業自体は少ないのです。
英語の場合、英検などでもリスニングやスピーキングの試験はありますが、
日本の小・中学校の国語試験で、「聞く・話す」試験はわざわざ行われません。
大脳生理学では、書き言葉(文字言語)は文章構成に重要な前頭前野や左頭頂葉の角回が使われているといわれていますが、話し言葉(音声言語)はブローカ野やウェルニッケ野が活発になります。
脳のしくみ・音声言語に関係する領域とは|Active Brain CLUB
https://www.active-brain-club.com/ecscripts/reqapp.dll?APPNAME=forward&PRGNAME=ab_brain_detail&ARGUMENTS=-A3,-A202009,-A20200916184007417,-A
脳の使い方が異なりますので、「文章力のある受験生」が「口頭試問の能力が高い」とは言い切れないのです。その逆も然り、「(自称)コミュ力の高い人(=トークが上手い人)」が「文章力も高い」とは限りません。
余談ですが、DJとしてイベント出演をする際、クラブやイベント主催者や他の出演者がSNSで告知の投稿を多く目にします。
いくつかの告知投稿を分析した際、いわゆる「(自称)コミュ力の高い人(=集客力のある人)」たちの文章は、
総合的に見れば「論理的でも魅力的でもない」ことがよくあります。
ネームバリューに依存した、単なる単語の羅列のような文章が特徴なのですが、そのことにすら気づいていない方も多いのです。
現代の高等学校では、総合的な学習や探究学習のプレゼン・発表の機会があります。
その「半強制的に用意された環境でのアウトプット」ももちろん有効なのですが、ここでもう一つ大事なことがあります。
聴衆(生徒、教員含む)の「質問」のレベルが高いと、「質疑応答」のトレーニング効果も期待できることです。この質問力(疑問力)は、生徒のみならず、教員の方々も鍛える必要があります。
これらの環境が揃わないと、高校の成績が普通(or それ以上)でも合格できる人になりづらいのです。
それに気づかず、高校内だけでの対策や、実績に依存した書類準備では合格が難しくなってきます。
いずれにしても、「質問力(疑問力)が高い人」、「考えながら『読む・書く・聞く・話す』ができる人」は総合型選抜で合格しやすいといえます。
文字と音声、これら両方の言語表現力を高めるための思考トレーニングは時間を要します。
学校の成績が「普通」であっても、総合型選抜合格に近づくためには有効ですので、できるだけ早い段階から取り組みましょう。
高3の夏に気づいたのでは、第一志望群の出願には間に合わない可能性があります。
Q13|書類を「きれいに書く」ことと「自分らしく書く」こと、どちらを優先すべき?
「自分らしく・自分の言葉で書く」ことを優先しましょう。
「きれいに書く」ことは、制限時間のある小論文の解答では効果はありますが、実は加点要素が伸びにくくなります。減点になりにくくはなりますので、減点方式の大学の小論文試験では高得点にもあります。一方、志望理由書などの場合は、加点方式の可能性を考慮する必要があります。
募集要項のアドミッションポリシーに「独自の視点(独創性)」などの語句があれば、当然、「自分らしく書く」ことが求められます。「きれいに書く」だけなら今はAIでもできますし、「きれいに」整える(添削する)ことは、小論文科出身の講師や教師の得意分野です。
つまり、受験生本人の能力以外の部分で、どうにかなってしまうので評価しづらいのです。
だから、合格マニュアル本に依存したり、小論文が得意な人ほど、「自分らしさ」が伝わりにくくなるんです。同じ日本語でも、トーン(調子)が異なるからです。
きれいなスーツや制服をビシッと着て、当たり障りのない真面目な話を語るよりも、
多少ボロボロでもいいからジャージやデニムを着て、試行錯誤や努力の軌跡が見えるようなその経験を語るようなイメージです。
念の為の補足ですが、面接当日は、特に理由がなければ制服などを正しくご着用ください。
Q14|併願校の志望理由書、どのくらい差をつけるべきですか?
まず、受験先の大学の先生方は、貴殿の併願校=他大学へ出願した志望理由書を見ることはできませんし、ありません。「なにと、どんな差」をつけたいのか、まずはその理由を考えてみましょう。
Alternative Academy®︎で推奨している併願方法は、
基本的には志望理由は一つの系統のみです。
その学びたいことや将来像に対し、「学び方」が異なるので併願をする。
これが、最も合格可能性を高める方法だからです。
差をつけるとしたら、その大学ならではの講座やゼミをどのように活用したいかの力点を、大学・学部によって変えることです。Howが変わるだけですので、WhatやWhyまで大きく変えてしまうと、支離滅裂な面接期間を送ってしまうことになりますので、ご注意ください。
「どれくらい差をつけるべき」かよりも、
「どれくらい差がない志望理由書を出せる併願校を見つけられるか」が重要です。
Q15|志望理由書で“失敗しがちな言葉づかい”ってありますか?
書類の後半に登場しやすい「(接続詞)そこで+未来形」の段落始まりは、特に注意が必要です。
11年間で何百種類の志望理由書を拝読してきましたが、個別サポートや模擬面接で約8〜9割の人が「回答までに時間がかかる」箇所が、上記の一文を境にした論理関係の説明です。
たった3文字の接続詞「そこで」だけで、論理展開を繋ごうとしている時点で無理があるわけです。
当然、説明は苦し紛れのものになりやすい。
この箇所の回答を濁したり曖昧にした場合、いわゆる「圧迫面接」に切り替わることも多いのです。
接続詞の「そこで」を使う場合には、相当な根拠と説明できる責任を備えておきましょう。
Q16|SNSや動画を活用したポートフォリオは評価されますか?
無いよりはあったほうが評価はされますが、出願書類の審査対象に、ご自身の武器となる媒体があるか次第です。
慶應SFCのAO入試では、枚数制限なし(容量制限はあり)の任意提出資料の一つとして、動画ファイル(10MB/点まで)を提出できます。

TikTokやInstagramのショート動画や、YouTubeのワイドな長編映像も容量以内であれば提出できます。
音情報(音楽、ナレーション、声優練習、録音など)を提出したい場合は、文字だけのサムネイルをつけて、動画ファイルの形式であれば、アップロードでの提出が可能です。
SNSは、基本的にはオンラインでのアクセスが必要ですので、
リンクの記載やQRコードを貼り付けるだけでは審査の対象外になります。
(慶應SFCの大学院の入試では、リンク先まで見てくれていた事例はありましたが、異例です)
そのため、PDFかJPEG画像一枚か動画ファイルの形式で、
SNSの主張内容を資料化する必要があるわけです。
SNSを主戦場として活動されている方は、ぜひその魅力やスキルを、資料化する習慣をつけておきましょう。最低限、X(旧 Twitter)やInstagramのスクショでも構いませんが、「その資料で、何を伝えたいのか」を戦略的に構成を練ることに時間をかけてください。
Q17|面接で「それ、うちの大学でやる必要ある?」と聞かれたら、どう返すのが正解?
この質問は慶應(SFC,法学部)や早稲田(スポーツ科学部など)でも頻出の質問です。
まず、「志望校でやる必要」の前に、「大学で研究する必要」を答えます。
その上で、「特に、この研究を行う場合に、〇〇や◆◆などのリソースを活用することが最適であり、**大学を志望した」と返せるような理由を、当然検討した上で、受験・出願することが本来は望ましいのです。
「どう返すのが正解」かを聞く以前に、ご自身の書類を読み直して整理をするだけです。
大学名ではなく学部で選んでいる人なら、特に難しい質問ではないんです。
Q18|「表現系」や「探究系」の入試に向く人、向かない人って?
「表現系」は何を表現するかにもよります。
視覚表現なのか、聴覚表現なのか、味覚や嗅覚、触覚も大学・学部次第では表現の探究が可能です。
「探究系」の入試というのは、総合型選抜や学校推薦型選抜における、「志望理由につながる探究的な活動」は全て該当する話でもあります。
特に、関西学院大学の「探究評価型入試」は、高校の授業(複数)で行った探究を活かせる制度です。
私が過去にサポートをした受講生も、この入試で関西学院大学の文学部に合格をしています。
絵本の「視覚表現と言語表現、それらの探究」に取り組んだ好例ともいえます。
関西学院大学が「探究評価型入試」で重視する「成果」より大事なポイント|DIAMOND教育Lab
https://diamond.jp/educate/articles/entrance_exam/400196
入試に向く・向かない以前に、「何かを表現すること(Output)」や「何かを探究すること(Input)」のどちらか(orどちらも)は、大学の4年間で求められる資質です。
厳しい言い方をすると、どちらも向いていない人は、一般選抜を頑張る以前に、「大学に行かない」選択肢も考えた方がいいと思います。
「大学生に向いていない」ということなので。
Q19|総合型選抜で落ちた人が、一般入試で活きた経験ってありますか?
たくさんありますよ。
慶應SFC、早稲田、上智、ICU、立教に全て書類通過し、面接で全て不合格だった方が、慶應SFCの一般選抜の小論文で図解表現を武器に合格した例や、SFC環境情報学部のAO入試の面接で3回不合格になった方が、東京大学に合格した例。
他にも、慶應SFCは一次審査で不合格でしたが、東京科学大学の環境・社会理工学院(志望理由書+共通テスト+口頭試問)に合格した例などもあります。
彼ら・彼女らが「一般入試で活きた経験」は、自身の興味関心(前項の探究活動)と、学問の接続可能性を検討していたことがまず挙げられます。小論文では、志望学部に関連する知識や視点も問われることはよくあります。
志望理由書などの出願書類作成や、面接に向けた論文の読み込みなど、一般入試の基礎学力としても活きた部分が多々あります。
また、タイムマネジメントの能力や脳内の抽象的な想像を言語化や資料化する力、メンタルのセルフケアも、総合型選抜を受験することで鍛えられることがよくあります。
一般入試はもちろん、就職活動やその後のビジネススキルとしても必要な経験と言えますね。
Q20|「AO対策」を早めに始めるなら、高1・高2では何をやるべき?
自分が好きなことを、能動的に好きなだけやってください。
時間がかかってもいいんです。高校卒業後に実績や、失敗も含めた成果が出ることもあるでしょう。
本来は、それが受験のタイミングです。
学校の先生や部活の顧問、塾講師、ましてやご両親に「言われたからやっている」だけの行動は、能動的ではありませんし、行動に移す動機の部分を語ると弱みになってしまいます。
大事なことは、「自分で選択すること」。ただそれだけです。
プレゼンでの発言も文章の執筆も、スポーツ競技で走り出すタイミングも、どの絵の具をどれだけ出すかも、どのコード進行を演奏するかも。全ては細かな決断の連続なのです。
それらを感覚的にできているのだとしたら、無意識の決断ができているといえます。
理論的に考えても難しいのだとしたら、意識して決断する機会を増やすしかありません。
まずは、「何をやるべき?」という質問をしてしまう「思考の習慣」も変えましょう。
「何をやるべき」かは、受験生の本心や、五感の体験に基づいて決めないと、面接で苦労します。
これは先人(先輩)たちの教えでもあります。
「誰かが(合格した人が)やっているから、自分もこれをやろう」ではなく、
「誰も前例はいないかもしれないけど、自分はこれをやってみたい」を見つけることは、
大学で研究したいことの「萌芽」に気づくこととも言えます。
最初から、そんなことは考えず、自分が、今取り組みたいことは何なのかを素直に書き出してみましょう。「書く」と思考が停滞する方は、独り言で「話す」でも構いません。
どちらも難しい人は、絵を描いてもいいし、踊ってもいいし、歌ってもいいのです。
何を学ぶか(Input)を見つけ出すには、何で表現したいか(Output)に従ってみるのも有効です。
高校1,2年生でしたら、まだ時間はあります。
自己分析や自分の興味関心を発見するところから、Alternative Academy®︎ではサポートをしています。
志望校の偏差値やブランドイメージにとらわれず、まずは専門講師との対話を重ねて、将来のわずかな光を見つけるのではなく、「気づけるか」が大事なのです。
星は既に光っています。
自身がその存在に気づけていないか、雲や建物などで見えていないか、見上げようとしていないだけです。
ぜひ、自分だけの星座を描くように、
光を結ぶ=興味関心と学問や将来との接続を試行錯誤してみましょう。
さて、前回に続き、勢いのまま10問に回答しました。
最後は、なんだか怪しい宗教のような、ある意味哲学のような結びとなってしまいました。
あくまでも参考例としてお読みいただき、皆様の受験生活や今後の人生の新たな視点としても取り入れてみてください!
Alternative Academy®︎
代表・河合雄介
この記事を読んでくださった受験生・保護者・教員の皆様にとって、
受験本番までの時間が最も長くある日は、今日です。
「総合型選抜、何から手をつけていいかわからない…」
「書類の添削ってどこの塾も同じですか?」
「学校の先生との面接練習だけで合格できますか?」
様々なお悩みや心配事があるはずです。
まずは一度、Alternative Academy®︎の無料カウンセリングを受けていただき、最適な準備をご検討いただければと思います。皆様の決断を先導&後押しできる準備を整え、サポートでお待ちしています!
受講相談・無料カウンセリングはこちら
>> https://altrntv-acad.com/contact/
