このBlogは、全国各地のクリエイティブな受験生の「探究と研究」を支援するハイレベル総合型選抜専門塾《Alternative Academy®︎》の代表・河合雄介が主筆です。AO入試(現・総合型選抜)の受験生やその保護者、高校の先生、大学の教員、企業の採用担当者の方々からいただいた質問に、私見も含めながらお答えしていきます。
※質問募集は公式LINEでもお受けしております。
※全ての質問に回答できるわけではございません、ご了承ください。
【Q&A】#66-70に続き、AO入試(総合型選抜)の受験を審査する側である「大学教員・職員」の方々からいただいた質問に回答します。
目次
Q71|研究テーマの独創性と、学術的妥当性はどう両立させるべきでしょうか?
独創性とは「誰かがやっていそうで、誰もやっていないこと」もありますが、研究においては「既存の議論の隙間を見つけていること」ですよね。
総合型選抜では、テーマが奇抜であるかどうかは、必須の条件ではありません。
むしろ重要なのは、
• 先行研究を踏まえているか(知っているだけではなく、引用できるか)
• 仮説と検証の筋道があるか(解決策や検証不足の結論の提示だけはNG)
• 方法論が妥当か(対象の選定方法や、アンケート項目一つとっても、代案の有無を示せるかなど)
という学術的な姿勢です。
文部科学省が推進する「大学入学や企業採用の基準が、高校での探究活動の成果や思考力等を評価する社会変化*」でも、単なる体験型活動から“問いの精緻化”への転換が求められています。
要約元:『高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン) ~2040年に向けた「N-E.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想」~』(高校改革によって目指す社会の姿)/令和8年2月13日文部科学省|https://www.mext.go.jp/content/20260213-mxt_koukou01-000046079_03.pdf
「(中略)大学の入学や企業における採用の基準が高校での探究活動の成果や思考力等を評価する仕組みへと変わることをはじめ、社会が変化することを目指す。」
合格に値する受験生は、
「私はこう思う」ではなく、
「先行研究ではこう議論されているが、私はこの点に疑問を持った」と言える人です。
独創性とは、独立(=孤立)したテーマではなく、接続の質に出ると考えています。
Q72|探究活動が「自己満足」で終わっている受験生を、どう見抜けばいいでしょうか?
探究が自己満足に終わる受験生には、いくつかの共通点がありますが、そのうちの一つは「社会的文脈への接続が弱い」ことです。
探究は本来、個人的な関心から始まってよい(できれば愛と怒りのハイブリッド*)と長年お伝えしていまして。しかし、それがどの社会課題の核(本質)や学術的議論に接続しているのかを説明できない場合、再現性や発展性が見えません。故に、大人(大学生講師やAI)の入れ知恵を疑ってみる合図といえます。
たとえば、OECDは「TRANSFORMATIVE COMPETENCIES FOR 2030」の中で、
【Transformative Competencies】
価値創造・責任ある行動・対立の調整などを提示しています。
これは単なる経験の量的な多さや列挙ではなく、「社会をどうアップデートするのか」という高い視座を持たないと実現できません。
自己満足で終わらない受験生ほど、
• 自分の活動を客観視し、自己批評できる
• 既存研究や政策、アイデアと比較した上で差別化の言語化ができる
• 直面した課題や、小さな達成をした後の問い(ネクストアクション)を自分で計画できる
この3点を満たしています。
もちろん、ここまで成熟(早熟)した受験生は希少です。
「感動」よりも「構造理解できる視点や視座の獲得」。
これが信頼の基準になることが多いですね。
Q73|将来構想が大きすぎる受験生をどう評価すべきでしょうか?
「社会を変えたい」「日本を良くしたい」と語る受験生は多いのですが、その主語や対象のスケール感と現在地が乖離していることも多く、構想は非現実的な「プラン」で終わっていることがほとんどです。
これを、業界最大手のW塾在籍時、講師間では「プラン型の志望理由書」とラベリングをして批評を慎重に行うことが求められていました。
大きな問題に対して、簡単に解決策を提示できるほど世の中は単純ではありません。
複雑な問題解決力(絡み合った諸問題を“ほどく力”)や、批判的思考(既成概念や前提条件に対する違和感を持つこと)が、総合型選抜に限らず社会では重視されます。
つまり、「大志(目的)を抱く」よりも「具体的かつ現実的な途中過程を示す(複数の目標)」受験生の方が、大学・学部のアドミッションポリシーに見合った評価になりやすくなるはずです。
面接で見破るポイントは、
• 将来像と現状の距離を説明できるか
• その差を埋めるために大学で何をどう学ぶのか
• 在学中や卒業後のイメージも想定できているか
「描く夢のサイズの大きさではなく、描き方の解像度の高さ」で評価しましょう。
Q74|生徒会や部活など「団体活動中心の受験生」は、個人の能力としてどう評価すべきでしょうか?
チームで成果を出すことはなんだかんだ重要なことです。
しかし、大学は最終的には個人の思考力を問うことで学位が授与される機関です。
(早稲田大学の建築学科など、卒業制作をチームで構築するような例もあります)
個人の能力を評価するポイントを、
• チーム内でどの役割を担ったかを「解説」できるか
• どんな意見での対立をどう調整したか
• 自分の判断では何を基準にどんな決断したか
などに置いてみましょう。
ビジネススキルや「社会人基礎力」としても、組織内での主体性やチームワークは強調されていますが、そこには必ず「個人としての責任」が含まれることを忘れてはいけません。
本当にリーダーシップのある受験生は、
「みんなで頑張りました」「私が率先して〇〇しました」ではなく、
「私はこの局面でこう判断した」「こういう仲間がいたから共創や議論ができた」と説明できる人です。
決断の場面や、失敗の瞬間は、責任を伴います。
個人の強さに差が出るのは、追い込まれた時なんです。
Q75|データや論文を引用する受験生と、体験中心の受験生。どちらを信頼すべきでしょうか?
結論から言えば、「両方を往復できる受験生」です。
データや論文を引用するだけならAIでも十分な時代になりつつあります。
課題(つまり機械との差別化)は、それらをどう「編集できるか」の視点です。
これは現場での体験に基づき培われることが多いです。
ただし、体験偏重型の思考ではどうしても主観的になるため、再現性は低くなりやすい
両者の意味や効果を把握し、状況に応じてバランスを調整できる総合的判断できる受験生は信頼しやすいですね。。
とはいえ、高校生にその能力があればいいのですが、入学前(受験期)の段階では、その萌芽にどう気づけるかが評価の分岐点になるでしょう。
私が、伸び代や期待値を感じるのは「両方の往復を行なうことに抵抗がない人」です。
たとえば特定の地域活性化に向けた実地検証を行う場合、
• 総務省や対象行政、比較対象などの人口動態データを参照
• 事前リサーチの上で、自身による現地調査(フィールドワーク)を重ね
• 両者のズレを考察する=データ化されていない最新の一次情報を観る
こうしたプロセスがあれば、探究学習だとしても、リサーチの精度は一段高まります。
合格が不思議ではない受験生は、個人的な体験でも理論的に言語化して、初対面の人にも共有できる能力が高いのです。
これは単なるプレゼン能力やコミュ力の評価ではありません。
「最近、何か面白いことありましたか?」と、大学の面接で聞かれた事例があります。
こういった状況で「感覚を理論的な言葉に変換できるか」が求められる入試の本質的な問いなのかもしれませんね。
次回は、Q76-80にお答えします!
Alternative Academy®︎
代表・河合雄介
この記事を読んでくださった受験生・保護者・関係者の皆様にとって、
受験本番までの時間が最も長く残っている日は、今日です。
「総合型選抜の実態や本質って結局なんですか?」
「書類の添削って塾の傾向ってありますか?」
「本当に賢い受験生はどんな質問で評価されますか?」
様々なお悩みや心配事があるはずです。
まずは一度、Alternative Academy®︎の無料カウンセリングを受けていただき、最適な準備をご検討いただければと思います。皆様の決断を先導&後押しできる準備を整え、サポートでお待ちしています!
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