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TIPS 総合型選抜の本質的な考え方・出願書類作成のヒント

このBlogは、全国各地のクリエイティブな受験生の「探究と研究」を支援するハイレベル総合型選抜専門塾《Alternative Academy®︎》の代表・河合雄介が主筆です。AO入試(現・総合型選抜)の受験生やその保護者、高校の先生、大学の教員、企業の人事・採用担当者の方々からいただいた質問に、私見も含めながらお答えしていきます。

※質問募集は公式LINEでもお受けしております。
※全ての質問に回答できるわけではございません、ご了承ください。

【Q&A】#76-80とは異なり、企業の人事・採用担当者の方々からいただいた質問に回答します。


回答以前の話になってしまい申し訳ありませんが、貴社内で「優秀」の定義は揃えられていますか?
業種や業界によっても様々な定義があるでしょうから、一概に「どんな学生が優秀か」を一言では語れません。

「優秀」とは何を指しますか。
出身大学の偏差値の高さでしょうか。SPIなどのテストの正答率でしょうか。
それとも、不確実な環境で問いを立て、状況を再構築し、他者を巻き込みながら前進させる力を持つことでしょうか。

2022年、経済産業省『未来人材ビジョン』では、今後の社会で必要とされる能力を「自律」「越境」「課題設定力」と明示しました。
少なくともこれらを備えている人材は「優秀」の定義に該当しやすいという前提でお話しすれば、成熟社会では「正解を当てる能力は一般選抜で測定」されやすく、「課題の発見や仮説・問いを、他分野の情報も編集して設計できるかは総合型選抜で審査」されます。故に、後者が希少になることの予見だと考えられます。

総合型選抜で問われるのは、まさにこの問いの設計力なんです。
なぜその研究テーマなのか。
なぜその大学・学部・専攻なのか。
なぜ自分でなければいけないのか。

これらを考え続け、書類に表現し、面接や口頭試問の場で伝達できる人が、総合型選抜で合格できる「優秀層」の条件とも言えます。
運良く合格した人や、大人の入れ知恵で合格できた人とは真逆の学生であれば、「優秀」と言える可能性は高いのです。

ただし、総合型選抜出身の人材は、「完成されたエリート」ではありません。
視点や視野の特異性や、既存の能力のさらなる伸び代を秘めている人材とも言えます。

不確実性の時代に強くなるために、どのような「優秀」な人材を確保したいのか。
優秀の定義を言語化できない企業は、優秀な人材を見抜けません。


「大学の名前」というよりは、塾や予備校が勝手に決めた「偏差値群」で選抜することは、一斉採用における方法として、短期的合理性はあります。なので、目的次第では否定しません。母集団を絞るには便利です。

しかし、それは「採用する企業側の効率への依存」であって、「優秀な学生」にとっては公平とはいえません。

ただし、学位に関してはフィルターにかけるべきだと思います。
学士と修士(と博士)では研究実践の差がかなりあることをまずご理解ください。
学部卒と大学院修了者を同列の試験で扱うことは、研究者やアカデミアに対するリスペクトもないまま「大学名」というブランドでしか評価できない組織と捉えられます。
例えば、大学中退=高卒者であれば、すべての大学の学士未満という前提でフィルターをかけること自体は、制度上は間違いではありません。しかし、その特異な経験や能力を「定性的に評価」する必要があります。
もし、何が何でも学歴フィルターをかけたいのであれば、まずは学位です。制度上明確な定量的評価です。
大学名=ブランドで選ぶのは、学歴フィルターではなく、ただのエゴです。

経団連の新卒採用調査では、企業が重視する能力の上位は一貫して「主体性」「課題解決力」「チームワーク」。大学名は主たる指標ではありません。

それでもフィルターが外せないのは、「外して失敗したくない」という心理が働くからです。
あるいは、今どき珍しい同族シンパシーのような安心感か優越感でしょう。

ここで少しだけ意地悪な質問です。
内定者の大学名や比率を見て毎年安心していませんか。

本当に見るべきは、大学名ではなく、大学で何を学び身につけた能力があるかです。
日本の大学の場合、学歴は過去(入学時=高校卒業時)の到達点でしかありません。

企業が見るべきは入学から数年分の変化量です。
フィルターは安心をくれますが、革新的とは言えません
イノベーションを起こしたいなら、大学ブランド信仰から能力評価へ移行する必要があります。


仰る通り、基礎学力は重要です。
しかし、それを入試方式で差別する理由にはなりません

総合型選抜(AO入試)で入学しても、入学後の授業や研究室で徹底的に鍛えられる学生もいるため、「入学時点が学力のピーク」とは限らず、そのような従来の日本の大学生像と混同しないよう注意が必要です。

むしろ、一般入試で高得点の入学者や内部進学者でも、大学入学以降で低下してしまえば「就活時・入社時にピーク」どころか「下山の途中」のような就活生だって沢山います。

評価すべきは「入口」ではなく「現在地までの過程」です。
そして、それはそのまま「入社時から入社数年後の成長予測」の指標になります。

・どんな問いを立て
・どんな文献やデータを参照し
・どんな仮説を立て
・どんな失敗を経て修正したか

このプロセスを具体的に語れる学生は、応用可能な思考基盤を持っています。
困難や課題に直面した際の試行錯誤の仕方、自分の限界と他者へ協力を依頼する状況の把握、それらから学んだ次の未知なる問題に対する準備や意識の変革…

生成AIが「知識へ拡張する」市民権を得た今、差がつくのは構造理解とその編集力です。
「問いを立てる力」は一朝一夕に質を得られるわけではありません。
再現性の高い「問う力」は鍛えた量に比例します。

故に、基礎学力では補えない能力は、大学での学習や研究活動の質として、就活面接時に顕在化すると言えるでしょう。

面接では「最後に研究の仮説を修正したのはいつ、何が起きたからですか?」や「研究対象を決める上で、何と比較しましたか?」などを聞いてみましょう。


一定の相関はあるかもしれませんが、貴社内では、実際いかがですか?
難関大学・有名大学出身だからといって、採用する際の「保証」にはなりません。
むしろ、「難関大学出身者(高学歴)の方が、仕事できる確率は低くないですか?」という問いも様々な場面で目にすることがあります。

学歴と仕事の能力は、専門性が影響しない総合的な業務の場合、ほとんど相関しないのです。

近年の大企業不祥事を振り返るとわかるように、いわゆる「エリート」ですら(orだからこそ)、不誠実な仕事をしてしまう方もいらっしゃいます。また、その彼らを採用したり、有益なポジションに推薦や任命した際の意思決定層に、「仕事ができる人材」がいなかったとは言えません。

見抜ける力や、誠実な対応も「仕事ができる確率」の計算に入れてもいいと思いますが、そうなると「仕事ができる(=シゴデキは死語です)」とは何を指すのでしょうか。

学歴は「情報処理の基本的な能力の指標」にはなります。
しかし、倫理的・論理的判断力や問いが設定されていない状況での思考力をはかるには不十分です。
また、「勉強ばかりしていて人付き合いを避けてきた」ような場合、「相手の状況を察する力」も不足している可能性があります。

例えば、裕福な家庭の出身者にヒアリング調査をすると、タワマンや中流〜高級受託街の戸建て住まいの割合が高く、「木造賃貸アパートに一人暮らしをする人の生活水準は理解できない」という方が多数いらっしゃいました。

多くの仕事は、富裕層向けに限定されるものではありませんので、「顧客理解」や「生活者のリサーチ」が難しくなります。営業や販売の場合、このようなペルソナの設定や調査ができる人は「仕事ができる確率は高い」ですよね。

改めて伺います。
「仕事ができる」とはどんなことでしょうか。

経産省も強調する「変化対応力」。
均質な高学歴エリート集団は、同質的バイアスも強まりやすい。
難関大合格者レベルの知識ですら、今はAIで十分な時代になってしまいました。

学歴は過去の到達点であって、貴社の未来の保証にはなりません。


まず、「意識が高いだけ」の人材は、どの入試方式にも、どの大学にも、どの世代にもいます。
総合型選抜出身者に限った話ではありません。
「勉強ができて意識が高いだけ」なら許されるのでしょうか?そんなことはないですよね。

大事なことは、「意識の高さ故に行動と検証に進んでいる人なのか」の見極めです。

ハイレベルな探究学習者や総合型選抜合格者、大学での研究者は、「課題発見→観察→分析→仮説提示→実践/検証→失敗→再構築…」という循環を幾度となく経験しています。
このプロセスを具体的に語れる学生は、総合型選抜の優秀合格者にも多く、「思考が意識で留まらず、身体的な行動に移行しやすい」方々でもあります。

もし、この点を面接で指摘し、具体的に語れなければ、確かに「意識(とプライド)が高いだけ」の就活生と思われても仕方がありません。

見抜き方は簡単で、「成功談ではなく失敗談」を聞き出すこと。
そこに構造(明確な途中式)があれば、おそらく改善や反省は具体化できていますので、本物です。

語れない場合は自己演出の場合があります。最近は、就活対策塾や入社志望理由書の代筆、スピーチコンサルティングなどの選択肢も増え、「自己演出サービスが高度化」しています。
「他者の入れ知恵」でも「どうにかなってしまう試験」という意味では、大学受験よりも就職活動の方がはるかに「意識が高いだけ」の学生が浮き彫りになります。

この違和感にも気づかず採用し、入社後に仕事を依頼する中で、本人のメッキも剥がれ、企業のサービスや質の低下の原因になりやすい。こういった「いつの間にか低下している企業の定性価値」が、売り手市場×賃金増加のコンボによって顕在化しているのが「肩書きは立派でも、論理的な思考が伴っていない組織」です。

「意識(や能力)」の高さは肩書きや入試方式や大学名ではなく、「発言や成果物で判断」しましょう。


「優秀の定義を、まだ言語化しきれていないかもしれない」
もしそう感じられたなら、それは危機ではなく、再設計のタイミングです。

採用や育成は“選抜”の問題ではなく、組織の前提を編集する営みです。
どの能力を評価し、どの問いを重視し、どんな人材を混ぜるのか。
そこには必ず、企業固有の思想が現れます。

単発の講演やロジカルシンキング研修にとどまらず、

・増加する「総合型選抜人材」の活かし方
・AI前提時代の人事評価軸設計
・若手が伸びる「問いの文化」の構築

など、貴社の事業フェーズに合わせた設計からご一緒します。
採用は「選ぶこと」ではなく、「未来の組織を編集すること」です。

もし、貴社の人材戦略をアップデートしたいとお考えであれば、
社員研修・講演・ワークショップ設計についての無料相談をご活用ください。
ロジカルシンキングやデザイン思考にとどまらない、“仮説を設計できる研修”などもご提案します。

初回は無料相談(オンライン可)にて、現状の採用基準や育成設計を壁打ちいたします。
まずは情報交換レベルでも構いません。
組織の“前提”を可視化するところから始めましょう。

無料相談(オンライン/出張可)・カウンセリングはこちら
>> https://altrntv-acad.com/contact/


次回は、Q86-90にお答えします!

Alternative Academy®︎はクリエイティブでオルタナティブな学び方を徹底して伴走します
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