慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(公式略称: SFC)の総合政策学部・環境情報学部は、日本で最初に「AO入試」を導入した先駆者です。1990年の募集開始以降、35年以上も継続し、年々その注目が増していることや他大学がその選抜手段を参照することからも、「AO入試の元祖であり礎」といっても過言ではありません。
必修科目にとらわれない分野横断型のカリキュラム、多種多様な専門分野の教授陣、学部1年次から所属もできる研究会など、単なる慶應ブランドとは異なる魅力と価値のあるSFC。AO入試での募集人数も多いことから、近年は夏秋AO*(9月初旬出願)だけでも1,200人以上が出願する最難関校の一つです。
今回は、「慶應SFC AO入試」の本質的な解説を、講座の実例や私見を交えながら、どこよりもわかりやすく、たっぷりとお届けします。
本記事の筆者・解説者である河合雄介は、Alternative Academy®︎の代表としてだけでなく、SFC卒塾生としても、「一人でも多くの”有望な受験生”がSFC(や各志望学部)に進学し、社会や世界でイノベーションを創造してほしい」と願っています。そのため、この記事を通して「無償で提供できるギリギリのヒント」を共有したいと考え、前編・後編合わせて2万文字以上の解説ブログ(合計読了目安は、2時間越…!🙇)を一気に(ようやく)脱稿しました。
*受験方式の一般的な名称として「総合型選抜」という言葉に置き変わった今も、慶應SFCは「春/夏秋/冬AO」という名称を公式に使用しています。
目次
はじめに|慶應SFC AO入試は「総合的+分析的な観察力」と「再構築・編集する創造力」が必要
この慶應SFCのAO入試は、複数の書類(志望理由や学習計画、自己アピールの根拠となる書類など)を専用のWebフォームで出願する必要があり、複雑性を伴う書類作成能力やリサーチ能力、デジタルリテラシー、レイアウトデザイン、タイムマネジメント、メンタルコントロールなど、もはやビジネススキルと遜色ないレベルの思考力と表現力、そして人間性や耐性が求められます。(▼01,▼06の図参照)
そう、「奇跡の一発逆転合格」を狙うような大学ではないのです。ただ、奇妙なことに一次試験の書類は「運良く」通過してしまう「奇妙な」ケースもあります。そのような出願書類の場合、近年の面接では、事前の予想通り「99%は不合格」になっていましたので、SFCの教員の方々はきちんと審査をしてくださっているのだと思います。では、「実力」で書類を通過し、面接も経て最終合格する受験生は、一体どんな能力やポテンシャルを持っているのか。
紐解くキーワードは、T(ティー)型・Π(パイ)型人材、そしてこれらを自由に「往復できる」人材です。
2030年代に入るよりも早く、「T型・Π型人材」の需要が高まっていますが、慶應SFCに限らず、分野横断型のカリキュラムを提供する大学*に合格・入学し、活躍するには、未来社会を見通すための「総合的+分析的」な視点・視座を持つことと、社会に提示・還元していくための「編集力+創造力」が必要不可欠です。

東京科学大学: 環境・社会理工学院|https://www.isct.ac.jp/ja/001/about/organizations/school-of-environment-and-society
東京大学: College of Design|https://design.adm.u-tokyo.ac.jp/
T型・Π型人材に共通するのは、総合的な視野の広さで課題を捉え、どこにトレードオフや外部不経済が発生するか「現状と予想を見極める観察力」と、専門的な知見で「詳細な情報まで分析する観察力」、この二つを持ち合わせていることです。一部のマニアックな尖った人材も必要ですが、社会還元・適用・実装をしていくことで価値を増幅するためには、柔軟に「先端を曲げられる」ような尖り方が重要なのです。
「尖っているのに、やわらかい」。
この矛盾したような状態は当然マイノリティなのですが、これからの時代に必要な希少人材と言えるでしょう。
また、AIやノーコードツールを前提とした「現代のクリエイティビティ」に求められるのは、「ゼロからイチ」を時間をかけて生み出す作曲家(Composer)的な才能ではなく、「既存の価値や情報の再編集・再構築」をする編曲家(Remixer, Arranger)的な能力です。
「生む、より、編む」。
この資質を持ち、既に行動に移すほど意欲の高い受験生を、多くの大学が求めています。これは募集要項や面接での質問内容などから読み解けます。総合型選抜の合格者像も、徐々にこの系統へシフトしつつありますが、ほとんどの中学・高校、学習塾では教育提供機会・環境の中では、この本質や事実を教えてくれません。
そして、T型人材とΠ型人材の往復とは、一つの専門性を広く展開するT型と、二つ以上の専門性を繋ぐことで生まれる新たな価値を生むΠ型の、どちらが優位ということではなく、どちらもできる状態にしておくこと、と言えます。
まずは一つ、専門分野・関心領域を受験開始の時点で頭の片隅に置いておき、出願準備を進める中で、複数の関連・得意領域も見つけていきましょう。ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学のように「ダブルメジャー|サブメジャー」の制度(ダブル・ディグリー制度など)が、もっと浸透していくことも期待できます。分野横断/融合型の大学で学ぶ以上、「一つの専門分野があるからこそ、一つに固執しない学び方」が、「必須」の流れになっていくと予測できます。SFCに限らず、この考え方は、今後の総合型選抜でもスタンダードになっていくのではないでしょうか。ますます「SFC“でしか”できない研究」というものが希少な価値になっていきますね。
今後の総合型選抜塾(や中高での探究学習)に求められる価値は、このような「本質的なスキルやマインドを育成できる環境(人間・時間・空間)の提供」であると、Alternative Academy®︎では考えております。
しかし、多くの志願者たちが、大学合格を目的とした「志望理由書添削」や「面接対策」ばかりを求めるため、専門塾や予備校も「目を¥マークに変えて」、SNSのショート動画広告を乱発します。
結果、比較検討の数に圧迫され、塾探しの時点で彷徨ってしまう方は少なくありません。「本質的なSFCの学び方や在り方を解説」している所(や講師)が極めて少ないからこそ、「慎重に『講師』を選んだ方が良い」とお伝えしているのです。
インターネット上の噂話や、AIに聞いても真実とは異なる見解が散見されており、「受験以前に塾選びに悩んでいるご家庭」が多数いらっしゃいます。これは、受験を取り巻く社会課題の一端だと思うのです。情報格差の根本的要因は、地域格差や経済格差以上に、「心の弱さ」なのかもしれません。
この精神的課題に、少しでも役立つ情報を配信したいと考え、この記事を書くことを決めました。
解説者の紹介|デザイナー×予備校講師×戦略コンサルタント
慶應SFC AO入試の重要な記事の解説は、クリエイティブ×アカデミックな受験生を支援するハイレベル総合型選抜専門塾《Alternative Academy®︎》の代表・河合雄介が担当します。

以下、簡易的な経歴です。
河合雄介は、慶應義塾大学SFC大学院修了後、インテリア、空間広告、グラフィック、ブランディング、サウンドなどのデザインを多数手がけてきました。2016年には、クリエイティブィレクターとして『日本空間デザイン賞 Best 50 of the year』を受賞し、20代のうちに国内最高峰の受賞経験や、学生時代からも国際コンペ入賞などの実績を挙げ続けてきました。2024年には、コメディアンの秋山竜次氏(ロバート)にリミックス楽曲を提供するなど、視覚・聴覚の情報デザインを中心に制作活動をする現役のクリエイターでもあります。

上記のような広告・商業空間など、デザインビジネスの現場の最前線で抱いた「日本社会の”デザイン教養不足”の課題」に向き合うため、2015年からは教育者として活動を開始。
2026年現在、総合型選抜(旧・AO入試)の塾・予備校、デザイン専門学校、美術予備校での講師経験を11年以上有するだけでなく、特殊な合格指導実績が豊富な「日本屈指の専門講師」でもあります。
慶應SFC夏秋AO入試の「優秀合格者(奨学金対象者)」サポートや、両学部での「デザイン系研究テーマ合格」を11年連続達成。筑波大学AC入試とのダブル合格者輩出、東京科学大学(環境・社会理工学院)の二次試験合格率5年連続100%など、「クリエイティブ×アカデミック」な研究領域を目指したい高校生・受験生たちを中心に指導・育成をしてきました。

特に、慶應SFCの春/夏秋AO入試と、慶應義塾大学法学部(法律学科・政治学科)のFIT入試は、日本国内外からの受験者数が最も多い二大AO入試です。この二つに共通する「自由記述(形式)」の「自己推薦書」や「入学後の学習計画」、「任意提出資料」や「別添資料」*の考え方と伝え方を端から端まで解説・指導できる講師としては、日本でも唯一の存在と言えます。
*合わせて「ポートフォリオ」と呼称されることが多いので、便宜上、本ブログでもこの名称を使用します。
「日本屈指」と「日本唯一」の形容詞が、決して広告目的の過剰表現でないことを、以下の実績からぜひご確認ください。
《実績1》業界最大手の早稲田塾で、「慶應SFC+FIT|自由記述・自己推薦書作成講座」や「ポートフォリオデザイン講座」の企画・内容・登壇を一任され、3日間で250名以上の塾生が受講。季節講習時は、キャンセル待ちが発生する人気講座を立ち上げました。
2015年夏の着任以降、毎年、塾全体の慶應SFC合格者数は増加。幹部社員や部門長、校舎長はもちろん、慶應大対策の第一人者S先生からも「河合先生の加入が大きい」と評される(教材に採用された実績あり)。帰国生など9月入学希望者の多い「春AO」では合格率100%(全員合格)を達成した年度もあります。同じ高校からデザイン系志望で3名を同時に合格輩出など、「受験生一人一人の特異性」を学問につなげる指導にも定評があります。
《実績2》AO入試の専門個別塾としては業界最老舗の洋々で、「慶應大対策 夏期特別講座|SFC(AO入試)自由記述+法学部(FIT入試)自己推薦書 解説」の集団講座を2年連続(限定)で担当。計6回は毎回満席(映像講座での事後配信含む)。
《実績3》慶應SFCが主催する高校生向けWS(ワークショップ)・『未来構想キャンプ』は、応募課題の選考によって参加の可否が決まります。2017年度の一つのWSでは、事前発表定員が20名だったところ、河合が直接サポートした高校1〜3年生がなんと16名も通過・参加。
定員の80%を占めてしまう異例の数字を出しました。各応募課題は、A4一枚の自由記述形式にまとめることが求められており、AO入試の自由記述(A4二枚の書類)と同等の表現能力や論理的な構成力が必要です。SFCは一般選抜の小論文でも図解やイラストを用いる解答が可能な年があります。いかに図解力がSFCから求められているかがよくわかりますね。
※ 併せてこちらもご一読ください ※
【AERA with Kids plus】掲載
元・総合政策学部長の河添健(慶應義塾大学名誉教授)さんとの対談記事です。
▶︎ https://dot.asahi.com/ad/25080701/
【偏差値だけに頼らない中高一貫校選び2026】掲載
▶︎ https://publications.asahi.com/product/25516.html
【ダイヤモンド・オンライン】掲載
業界最大手の集団塾や国内最老舗のAO入試個別指導専門塾での豊富な合格実績をもとに取材回答した記事がご覧いただけます。
▶︎ https://diamond.jp/articles/-/362280
▶︎ https://diamond.jp/articles/-/364881
☑︎ 上記の経歴を信じていただけた方は、続きをお読みください。
それでは、いよいよ、本編・解説に進みます。
「慶應SFC AO入試」を受験する前に
知っておいた方がいい、7つの視点【前編】

▼01|募集要項を「読み解き」、出願書類の意味を理解しよう
受験生の皆さん、募集要項はどれくらい読んでいますか?
大学側が「こんな受験生とマッチングしたいな〜」と、「4年間付き合いたい理想のタイプ」が細かく記載されたルールブック。
「こんな子なら脈アリ」のヒントが満載の冊子。
どんな自己啓発本よりも優先して読むべき、もはや教典のような存在。
それが募集要項です。
この募集要項を「読めない」どころか「読んでいない」SFC受験生が不合格者に多いのです。
塾や予備校、受験経験者の先輩達から「定番の箇所だけ」をつまみ食い的に聞いていることが多く、「なんとなく理解した」状態になっているからです。これは非常に危険な思考です。
慶應SFC AO入試と双璧を成す、総合型選抜界隈では人気の「慶應法学部FIT入試」や、社会人のリスキリングとしても人気の「早稲田大学人間科学部(eスクール)」の募集要項なども、熟読をしてみると面白いほど合格に繋がるヒントが隠されています。義務教育の「国語」のテストで学んだはずなんですよね、「問題文に答えのヒントがある」と。なぜ読まないのか不思議でなりません。おそらく、意識の問題なのでしょう。こういう実態は「AO入試に関する情報格差や地域格差」と言えるのでしょうか…?
いいえ、ただの怠慢です。
言い訳せずにさっさと読みましょう。前年度のPDFで構いません。
過去問を一年以上も前に解く必要はありませんが、どんな内容か知っておくのと同じです。
テストの問題文/問題用紙を読んでいないのは、「何から、どう答えていくのかわかりません」と自白している状態と同じです。わかる所からでいいので、読みましょう。テーマ(志望理由)を模索するのはその次(の次の次くらい)です。
まずは時間をかけてでも読み、不明な単語があれば辞書を引くなど学術的語彙も増やしていきましょう。この過程を端折ってはいけません。AIに要約させると、出願ミスを招いたケースもあります。とにかく自力で熟読する。皆さんが受験するのは慶應義塾大学です。言葉(日本語)の高い理解力が求められています。頑張って読んでも、「ちょっと何言ってるかわかんない」表現や情報があれば、講師やスタッフ、知り合いの先輩などに聞いて確認するくらいはOKです。
ただし、この聞く相手を間違えると悲惨なことになりますので、人選は慎重に。
40ページもある募集要項(最新は2026年春AO版)を「読んでる時間がもったいない!」とお考えの「タイパ思考&信仰」の受験生も、困ったことに年々増加しています。お気持ちは察しますが、その回り道のようなプロセス自体が面接まで視野に入れると重要なんです。全体像の理解は、山道をどう登るかを把握するようなものです。楽して頂上に行けると思うマインド(と謎のプライド)は、さっさと捨てましょう。登山の邪魔です。いかに心身ともに軽量化できるかが、高い頂を目指す上では必要なのです。
・・・とはいえ、そんな厳しいことだけを言いたくはないので、少しだけ優しさ代わりの情報を。
Alternative Academy®︎では、慶應SFC AO入試の出願に必要な書類が、どんな構造なのか全体を図解したものを公開・提供しています。実はこれ、代表・河合雄介が創業後(コロナ禍の2020年)、無償でX(当時はTwitter)に投稿し、業界関係者・受験生から多くのRTやいいねをいただくなど、大きな反響があった図解です。その最新版がこちら↓

Alternative Academy®︎のSクラスでは、この募集要項を全体と部分で把握し、一人一人、どの書類から進めると効果的なのかを、個別に戦略的なアドバイスをしています。
SFCは募集要項以外にも、Webサイトや各種SNS、YouTube、オープンキャンパスなどで、受験・進学の参考になる情報がたくさん発信されています。今までは大学の関係者や在校生しかわからなかったような細かい内容も知ることができるのです。ほんと、いい時代に受験できる時点で「運が良い」と思った方がいいですね。
▼02|「志望理由“書”」対策より大事なこと
多くの塾や予備校、高校で行われている「志望理由書」の添削・指導のサポートですが、慶應SFCの場合、少し思考・視点・発想を変えておかないといけません。面接で指摘されやすい「隠れキーワード」が残ることになり、トリガー(論破の引き金)になってしまう例が過去にいくつもあるからです。
(あんな言葉や、受験生の半分以上が使うこんな言葉も着火剤になります、、、ひええ。)
まず、SFCのAO入試には「志望理由”書”」という書類がありません。「”学部”の志望理由」と、「入学後の学習計画」、「自己アピール」の3つをどう繋げるかが、合否の第一関門(であり審査員の抱く第一印象)と考えてもよいでしょう。
多くの受験生や予備校講師が、「自己アピール”なんて”A4二枚の自由記述ですればいい」と誤解したり指導したりする光景を飽きるほどみてきましたが、「2000文字の日本語で自己アピールできる能力」もしておかないと、「学部の志望理由」に繋がりにくくなることが、直近5年分の書類と結果を照合すると明らかになりました。
10年ほど前の「志望理由が良ければ合格できる」という(謎の)神話はすでに崩壊しております。
「そもそも、自分はどんな魅力や価値のある人か」の自己紹介もせずに、「自分は将来、こんな解決策を実行し、社会を変える活躍をします!入学させてください!意欲だけは誰にも負けません!!」と言っているようなものです。(そんなセールストーク、賢い大学教員であれば誰も信用しないでしょう。)
ということは、志望理由自体に「さらに理由」が必要なのです。
自信(自身)の根拠ともいえますね。これが「自己アピール」すべきことなのです。
英検1級を持っていることや、全国大会で優勝しただけのアピールは重要ではない所以はここにあります。【▼01】の図解をもう一度見てください。青色の箇所は全て自己アピールにつながる項目・書類です。これが「志望理由”書”」よりも大事なことなのです。
これに未だに気づかない受験生や学校の教員、予備校講師は多々いらっしゃるようでして、公開されている倍率と実際の倍率に差があるわけですね。そして、気付いていたとしても対策が難しく、敬遠されやすい書類。それが自己アピールの根拠となる「任意提出資料」(▼06参照)なのです。
▼03|2つの学部の違いをイメージすると、「入学後の学習計画」が書きやすくなる
「学部の志望理由」が求められている題意であることに、皆様お気づきでしょうか?
そうです、「SFCの志望理由」ではないんです。
総合政策学部か、環境情報学部か。この二択に回答しなければいけないんです。
面接でも高頻度で聞かれることがあります。
「なんで環境情報じゃなくて総合政策なの?」と。
この両者の違いを「誤解」してらっしゃる受験生が毎年多く見受けられます。無理もありません。AO入試や一般選抜で合格した現役のSFC生でも理解されていない方が多数いますので、ちょっと難しいんです。
よくある間違いは、総合政策=文系、環境情報=理系、の安直な誤認です。
この誤解が解消されていない証左として、受験者数は、総合政策学部の方が環境情報学部よりも毎年多くなりやすいのです。(入学定員数は同じです)
そもそも、「分野横断」ならまだしも、「文理融合」という言葉自体、慶應SFCに限らず「大学が受験生を一人でも多く増やすための施策」でもあり、「マーケティングワード」であることを理解しなければなりません。
悲しい現実をお伝えしますが、ビジネス視点で考えれば、大学にとっての受験生は「ターゲット(消費者・ユーザー・単価)」でもあるのです。受験料¥35,000を一体何名の受験生が支払うか計算してみましょう。夏秋AOだけで約1,200人ほどですので、35,000×1,200=4200万円…!もちろん、審査にかかる経費やシステム料、面接だけでも合計拘束時間720時間以上などかかります。それに見合った価格だと捉えてもいいですが、冷静に考えても大学を受験し、入学・在学・卒業までになかなかの金額が納付されるわけです。入学定員は上限がありますが、受験者数には上限がないのです。
話を戻しますと、文理の分類が正しい解釈ではないのですから、別の違いを把握する必要があります。考え方の一例として下記の「灯台の図」をご覧ください。

なお、この図は、「はじめに」でお伝えした「T型/Π型人材」の図としても重ねて考えることができます。
ぜひ、ご自身の縦軸と横軸にどんなキーワードが介入するのか、模索するヒントにもしてみてください。
さあ、皆さんは何のために灯台をつくりますか?どう使いますか?
・海洋環境の保全を目的に監視するため
・沖合の船が目印にするため
・地域のシンボル・ランドマークとして
・船の航路を照らすため
・船と交信するための電波塔として
・外国への影響や水域の安全を考慮するため
・海賊に対する抑止力として
様々な目的が考えられますね。
例えば、図に記載した英字2文字の記号はSFCの大学院で大まかに分類された8つの領域を指します。
SFCの大学院(修士・博士課程)は、政策・メディア研究科一つしかありません。学部では、環境情報・総合政策学部と、大まかに2つに分けるだけですが、具体例としての緩やかな目安に照らし合わせると、両方の要素を学ぶからこそ、SFCの価値を享受できると考えられるのです。
こう見ると、「灯台をつくること自体や、作ることが重要なきっかけや議論になる」のが環境情報学部寄りで、「灯台を前提として、遠方と交信したり、予測したり、航路を照らす」のが総合政策学部寄り、とも捉えることができます。灯台建設(機能の設置)が目標なのか、その後の活用法なのかの違いとも言えますね。
ただし、それぞれ逆の捉え方もできますので、両方重要なのであれば、より一層「SFC」での学び方が向いている、と考えてもいいでしょう。これでもまだ難しいと感じる受験生や学生講師もいると思いますので、具体例も出しておきましょう。
それでは、灯台ではなく、「高速道路」のように他のものに入れ替えて考えてみましょう。
「走行音が騒音問題にならないようなアスファルトの検証」や「速度制限などを伝えやすい道路標識等のサインデザインシステムの開発」などは環境情報学的な学びが中心になりそうですよね。
一方、「高速道路の経由地から考える地方行政の資金計画の考察」や「全車ETC導入を前提とした料金所ゲート廃止と自動精算システム設置過程の法的課題」など、やや空想的題目ですが、総合政策学的な学びが必要です。
(上記の研究は、SFC以外でもおそらくできます。あくまでも例えばの話です。)
出願に迷った場合のイメージで構いません。入学したら大きな差はありません。環境情報学部生が政治や移民問題を研究してもいいし、総合政策学部生が建築や映像のデザインを制作してもいい。
環境情報学部っぽい総合政策学部生もいますし、逆も然り。
総合政策学部の元学部長である河添健さんは数学の教授ですし、環境デザイン分野である建築家の教員が総合政策学部所属だったことなどもあります。
けれども、なぜ「二つの学部」が存在しているのか。一度真剣に考えてください。
(マーケティング的な理由も…)
学部を最終的に選ぶのは出願直前でも可能ですが、常に「どちらかといえば、どっちの学部寄りだろう」と自問自答を続けてください。
学部の考え方について「もっと腑に落ちる解説」は、S classの受講生のみに提供しておりますが、このブログでは「どっちかというと、こっちの学部だな」くらいのイメージを持ってもらえればOKです。何度も言いますが、「文系・理系で選ぶ二元論ではない」のです。いずれにしても、数学は必要になることがほとんどなので、「自称・The文系」の受験生は気をつけてください。
(後編へ続く)
この記事を読んでくださった受験生・保護者・教員の皆様(と、指導に悩む同業他者の講師の方々*)にとって、出願日まで最も長く時間が残っている日は、今日です。
「慶應SFCの志望理由書って、他大学と同じ添削ではダメなの?」
「自由記述って、何から書けばいいの?」
「任意提出資料って、出さなきゃいけないの?」
「え、自己アピールに基準があるの?」
「上位合格した先輩の出願書類一式をぜひ参考にしたいのですが…」
様々なお悩みや心配事があるのは皆同じです。
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