クリエイティブな受験生を支援するハイレベル総合型選抜専門塾《Alternative Academy®︎》の代表・河合雄介が主筆のこのBlogでは、AO入試(現・総合型選抜)の受験生やその保護者、高校の先生、大学の教員、企業の採用担当者の方々からいただいた質問に、私見も含めながらお答えしていきます。
※質問募集は公式LINEでもお受けしております。
※全ての質問に回答できるわけではございません、ご了承ください。
【Q&A】#46-50に続き、AO入試(総合型選抜)の受験に関わる「中学・高校の教職員」の方々からの質問です。
目次
Q51|生徒の「自己肯定感」を高めるための言葉がけとは?
「大丈夫」という安心させる言葉を「言わないこと」を、
Alternative Academy®︎では常に心掛けています。
実際にそう思っていたとしても、安易に発言してはいけません。
教員も講師も保護者も、受験生本人ではありません。
本人にしかわからない努力や苦悩を、
想像だけで、「無責任に大丈夫」だなんて、言ってはいけません。
面接の最後まで何が起こるかわからないこともありますし、
面接官との相性や受験年度の運は、少なからず影響します。
その上で、「自己肯定感を高めるため」には、
「否定」はせずに「疑問・質問」を投げかけることで、
「自己効力感」や「自信」を高めていけるような対話を行います。
専門家としてこの手の質問に対する回答例の需要は理解していますが、
今回だけではもちろん書ききれません。
一つご紹介すると、「受講生の憧れ(理想)の人物に、似ている部分があること」を伝えます。
ルッキズムなどの類とは異なりますので注意が必要ですが、
受験生の「理想」が「部分的には近い、あるいは既にある」ことに気づかせるのです。
作風でも、話し方でも、考え方でも構いません。
ご質問の「言葉がけ(声かけ)」とは若干異なりますが、
『北風と太陽』の太陽の思考が大事なのです。
大人が高めてあげるのではなく、「自ら肯定できる部分に気づかせる」。
そう考えると、白熱する中学受験は、ほとんどの大人たちが北風なんです。
5年後が心配ですね…
Q52|AO入試の指導を担当する高校教員が「自信を持てない」理由はどこにありますか?
ご質問者がどのように「自信を持てない」のかにもよりますが、
担当する受験生が、「担当科目」の範囲や領域を超える志望理由や学習計画を持ってきたときに、専門分野ではないから「どうアドバイスしていいかわからない」といった声はよく聞きます。
無理もありません、誰にだって得意・不得意なことはあります。
全体像の話が得意な方もいれば、部分・詳細の話が得意な方もいます。
「フィールド(学問分野)とスコープ(探究/研究方法)の組み合わせ」を理解し、何年か経験を積まないと「ほぼ初見の分野に応用できるアドバイスの仕方」は身につかないと思います。
現在の教職課程や実習などでも、その方法まで時間をかけて学ぶことは難しいですよね。
「総合型選抜受験」や「探究学習」の実践を通したアドバイスの回数(量)を増やすことが、自信(質)を備える唯一の近道です。
では、その「質」を高めやすくするにはどうしたらいいか。
Q54で後述するような体制を学校側が整え、
「専門領域」が重なる生徒を、「専門知識」を有する教員が、重点的に担当できるようにすることです。
生徒にとっても、教員にとっても、メリットが大きいからです。
Alternative Academy®︎の代表・河合も、最大手W塾で講師を始めた当初は、専門外の志望理由や研究テーマに対して苦手意識はありました。
慶應SFCの出願書類では、専門である「デザインやアート、クリエイティブ系全般」の志望理由書・出願書類一式を、全校舎・全講師の中でも最優先に近い状態で担当してきました。最も得意な領域です。
一方、慶應法学部FIT入試の受験生向けには、自己推薦書や自由記述形式の任意提出資料(別添え資料)などの図解化・資料化をする集団授業をすることでアプローチしていきました。
例えば、法律学科で取り扱う憲法に関する研究計画は、
私にとっては専門外ですが、受験生にとっても同様に理解が難しい研究対象です。
そこで、図解の整理や比喩を用いた言語化を生徒との対話の中で示すことで、抽象と具体の行き来を自由にしやすくなり、初見の研究計画の矛盾点や違和感、改善点にも気づけるようになりました。
この経験と実績を元に、Alternative Academy®︎では
【慶應法学部FIT入試+SFC|ポートフォリオ講座】を自信を持って提供しております。

対象(What)に自信が持てなければ、指導方法(How)に自信が持てることを見つけてみましょう。
実はこの方法、慶應SFCでの研究の特徴の一つ「アスペクト」と同様の考え方ですが、様々なものごとの見方に奥行きが生まれやすくなりますね。
https://www.sfc.keio.ac.jp/academics/pmei/curriculum/feature.html
Q53|出願書類の指導で、塾や外部の専門家と連携する際の、選び方や注意点は?
選んではいけない塾は、例えば以下のような特徴の塾です。
・SNSのショート動画広告で「生徒の不安や学歴を煽る」ような予備校
→ メンタルケアも大事な受験において、弱みに漬け込む思想の組織は論外です。
もちろん、高校の先生方もそんなことをしてはいけません。
・学生講師中心の予備校
→ 優秀な講師もいますが、現役大学生の成功体験(n=1)に偏った指導が多く、
ビジネス経験が少ないため、モラハラや不手際も起きやすい。
・HPやブログ、SNSで受験の説明やまとめ記事ばかりで、参考になる内容が少ない
→ ありきたりなことしか助言できない可能性大なので、
ひとまず無料相談には参加し、「教員としても勉強になる”発見”があるかどうか」で判断。
・運営企業の代表が総合型選抜指導や教育業の未経験者
→ 利益優先の企業体制/社風の可能性が高く、
教育の質が低くなりやすい。
・メディア掲載や書籍出版も課金の可能性を疑う
→ 著名メディアは課金することで広告的に出演できる制度があります。
書籍出版も自費出版か商業出版か、ほとんど見分けがつきません。
「露出の量」ではなく、何事も「発言の質」で高校の理念と相性がいいかを判断。
また校舎を複数持つ大手塾であっても、フランチャイズの可能性がありますのでご注意ください。
質の高さは、講演会やセミナーに派遣・出張する講師や担当スタッフを選べるか次第です。
専門知識を有する講師をリクエストできるか、最重要項目として判断してもいいでしょう。
常々お伝えしておりますが、「どこ」にお願いするかではなく、「誰」に助言してもらうかです。
これらを理解した上で連携の注意点は、
「予備校の言いなりにならず」かつ、
「高校側の主張を強要しない」ことです。
あらゆる情報を取捨選択する権利は、受験生本人にあります。
そのバランスをどのように取るのかは、生徒・学校・予備校・志望校・方式によっても様々です。
感情的な判断ではなく、論理的な説明を互いが求めて、双方が共感できることが望ましいのですが、
前回のQ48のように、「口出しし過ぎないような距離感」を保つことがいずれにしても重要ですね。
Q54|総合型選抜にも対応できる「探究レポート」の評価基準は、どう作るべき?
評価基準ではなく、「高校内大学」を作ってみてはいかがでしょうか。
ええ、もちろん「架空」の大学です。
全教員の専門分野を明示・結集し、再分類してみたときに、「〇〇学部」のようなカテゴリーがいくつ生まれるか。
美術や音楽系の高校だとしても、総合大学的な領域は少なくとも数名の教員がいらっしゃる以上用意はできるはずです。良くも悪くも偏りが生まれると思いますので、それが貴校の「探究的な学びを評価する体制や特徴」を見える化した状態です。
その上で、探究レポートを「メインで採点する担当部門」を、上記の架空学部に分配するのです。
まずこの時点で、専門的(部分的、詳細、具体)な視点での評価がしやすくなります。
次に、「サブで採点する教員」として、
関連しそうな架空学部や、関係のなさそうな架空学部から差配します。
研究の動機やリサーチ姿勢などの全体像(総合的、抽象)の評価を複数の視点で行うためです。
Alternative Academy®︎でも、探究学習の資料やポートフォリオ、任意提出資料などの評価をする際には、上記の複数の視点で批評・改善のサポートを行っています。
メイン1名+サブ2名の教員チームで、生徒一人当たりに、少なくとも10分程度の批評・議論の時間や、必要であれば面接形式の学習到達度をはかることを検討してみましょう。
時間的なコストはかかりますが、「探究レポートの評価基準」の質は向上します。
ちなみに、この3名体制で長らく面接・面談を実践しているのが、慶應SFCの二次試験です。
先端をいく先人の合理的な評価方法はぜひ参考にしましょう。
Q55|総合型選抜(AO入試)の対策が「進路指導」と一体化していく理想形って?
進路を「指導」するのではなく、「指示や誘導」になっていないか、まずご確認ください。
大事なことは、「Direction」ですが、方向を示す”だけ”に留めましょう。
道路などの「標識」の意味ですが、「誘導」してはいけませんし、「複数の行き先(標識)があるのに、特定の方向へ”指示”をする」ことも総合型選抜の本質ではありません。
高校での進路指導の理想系は、「選択肢」を複数用意し、肯定することです。
専門学校や就職の道を選ぶ生徒を、大学受験生と同等に扱うことです。
「大学に行かない」という選択肢も含めて、生徒一人一人のキャリア形成に、過剰に口出しも反応もしてはいけません。それは親御さん、保護者の方も同様です。
「子どもに就職してほしい企業ランキング」なんていう特集が組まれる媒体が注目されてしまう日本社会を、異常だと思えない人が増加する時代が早めに来てしまいました。
全ての大人は、子どもの進路に口を出すべきではありません。
(助言を求められたら対応することが前提)
少し先に経験したことを素直にお伝えし、学びの機会、参考材料として提供するだけでもいいのです。
高校の先生方が行ったほうがよい「進路指導」に必要なことは、
「総合型選抜の対策」ではなく、「生き方の問い方」だと思います。
人生の先輩としての見本を示すことが、
「進路指導と一体化していく理想形」ではないでしょうか。
次回も、高校教員の方々からの質問、Q56-60にお答えします!
Alternative Academy®︎
代表・河合雄介
この記事を読んでくださった受験生・保護者・関係者の皆様にとって、
受験本番までの時間が最も長く残っている日は、今日です。
「総合型選抜、何から手をつけていいかわからない…」
「書類の添削ってどこの塾も同じですか?」
「学校の先生との面接練習だけで合格できますか?」
様々なお悩みや心配事があるはずです。
まずは一度、Alternative Academy®︎の無料カウンセリングを受け、
最適な準備をご検討いただければと思います。
皆様の決断を先導&後押しできる準備を整え、サポートでお待ちしています!
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